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甲本雅裕さん(田村公平役)

 最初に台本を第3話まで一気に読み、第4話以降の台本も読みたくなりました。公平が巻き込まれたのは誘拐事件ですが、次はどんな事件が題材になり、どんな話が展開するのかとても気になったので。『犯罪症候群』はそんな風に、続きを知りたい! と思わせる作品ですね。

 僕が演じる公平は、話が進むにつれどんどん人間味が増した役だと思います。長く母親の介護をしていたため、恋愛や結婚に縁がなく、『このままずっと一人かな』と思っていたところに妻との出会いがあり、子どもを授かって。自分がそういう経験をしているから、他の人を思い遣れるんですね。だから犯罪に加担している咲子さんのことも心配していました。

 一方で、武藤をめぐる警察関係者たちのやりとりはとてもミステリアス。ドラマ全体はクールなんだけれど、ときおり公平の優しさが挿入されて、そのコントラストが演じていても面白かったし、いいなと思いました。

 公平は自身のブログが原因で事件に巻き込まれましたが、改めてネットの世界で自分のことを発信することへの怖さを思い知りました。僕自身、そういう活動をしていませんが、以前やるべきか、やらざるべきか迷ったことがあったんです。もし今後、スタートするなら、よっぽど気をつけなければいけないでしょうね。良い点もありますけど、使い方を間違えたら、とんでもない事態を招くな、と。

 第1エピソードも大詰めですが、公平の娘への愛情はすごくリアルだし、娘のことを優先しながら、『これ以上、犠牲者を生んではいけない』と葛藤し、行動に移すところに僕は、“とまどいの中にある人間の優しさ”を感じました。

 人柄の良い役は何度も演じてきましたし、公平も視聴者の方からすれば善人に見えると思います。確かに善人ですけど、彼の心情の変化が、これまで演じてきたどの役とも違ったんです。台本を読んでいたときと、実際に演じたときに湧いてくる感情が微妙に違いました。そのためか、『この作品は面白くなる』と演じていても感じましたし、ドラマの中に何か気になる、引っかかるという部分が随所に散りばめられているはずです。

 登場人物一人ひとりの、表面では描かれていない感情が第3話でもさらに色濃くなりますので、公平が巻き込まれた事件に関わる人々がどんなことを考え、どんな行動に出るのか。さらにどう決着がつくのか、最後まで楽しんでご覧いただきたいです。